スピリチュアルカウンセラーや霊能者の世界では、「1時間3万円」「10日で30万円」などの講座が当たり前のように開催されています。
しかも、それがあっという間に満席になる。
これは一体どういうことなのでしょうか?
今回は、スピリチュアルを探索した経験のある私が、予約が絶えない「あるスピ系カウンセラー」の収益モデルと、それを支える「信者化」の構造について、冷静に検証してみます。
※すべてのスピリチュアルカウンセラーがこうした高収益を得ているわけではありません。 信念を持って取り組まれている方がいることも承知のうえで、ここでは「仕組みとしての構造的問題」に着目します。
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参考霊能者に依存していませんか?SNS時代のスピリチュアル商法に注意
※この文章は、スピリチュアルの考え方に少しでも疑問を感じたことがある方向けに書いています。すべてを肯定したい方や、霊能者に強く共感されている方にはおすすめできません。 私は霊の存在を信じています。 科 ...
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Contents
年収2000万円超も?スピリチュアルビジネスの収益モデル
【カウンセリング(個別相談)】
- 1時間あたり:27,000円前後
- 月46人 × 27,000円 = 約124万円/月
- 年間ベース:約1,490万円
【講座(例:10日間で29万円)】
- 年20人 × 290,000円 = 580万円
→カウンセリングと講座だけで 合計で年間2,000万円超の売上も現実的。
しかも、カウンセリングルームや会場がカウンセラー自身の自宅周辺だったり、オンライン開催なら、利益率は非常に高くなります。
働いている時間は1日2〜3時間、内容は「話すだけ」というケースも。
一般の仕事と比較すると?
一般の仕事とスピカウンセラーを比べられるよう、年収や労働内容について比較表にしてみました。
職業 | 平均年収 | 労働時間の目安 | 社会的責任の重さ |
---|---|---|---|
看護師 | 約490万円 | 日勤8h+夜勤 | 人命・医療安全 |
保育士 | 約330万円 | 8〜10時間 | 子どもの命・育成 |
公認心理師 | 約450万円 | 1日8時間前後 | 精神疾患や心のケア |
会社員(30代女性) | 約350万円 | 平均8時間 | 業務成果・チーム連携など |
スピ系カウンセラー(例) | 約2000万円超 | 1日2〜3時間・話すだけ | 根拠不明な助言で高額請求 |
なぜ予約が埋まるのか?「信者」をつくる心理構造
1. 不安を抱える人ほど「答え」を欲しがる
「波動が下がってる」「前世のカルマ」などの言葉は、今の不安をスピリチュアル用語に変換するわかりやすい説明になります。
2. 高額=特別=選ばれた人
「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、価格が高いほど、「本物」「私だけが受け取れる特別な情報」という錯覚を与えます。
「高くてもその額を払える私ってすごい」と思わせる選民意識も。
3. SNSによる感謝の連鎖
「救われました」「涙が止まりませんでした」などの投稿が拡散されることで、 疑問を持つ人が「自分が間違ってるのかも」と感じ、声を上げづらくなります。
実際に、とある講座では、「募集開始3分で満席」「次回は半年待ち」といった状況も。
SNS上のコメントには感謝の声が並び、「この人に会うと涙が止まらない」「すべてが腑に落ちた」という言葉が溢れています。
しかし裏を返せば、そうした投稿が信者化と依存を増幅させる空気になっているとも言えます。
誹謗中傷が問題になっている現代においては、正当な批判であってもひとくくりに誹謗中傷とされてしまいます。
このように正当な批判が鳴りを潜めることで、スピリチュアルカウンセラーの誤った印象(良い印象)だけが広まっていくのです。
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高額でも「自己投資だからOK」と思わせる心理
スピリチュアル界隈では「魂の学び」「本当の自分に戻るための講座」など、精神世界と自己成長を結びつける表現が多く見られます。
それにより、どんなに高額でも「これは自己投資だから」と納得してしまう人が少なくありません。
心理学的には、支払った金額が高いほど「効果があった」と思いたくなる認知的不協和のバイアスも働きます。
「あなたは特別」と言われたら要注意
「あなたは光の使命を持っている」「他の人にはない霊性を持っている」といった言葉は、依存を促進する典型的な話法です。
最初は自己肯定感が上がったように感じても、次第に「その人の講座を受けないとダメになる」という思い込みが生まれやすくなります。
「特別扱い」は、信者化と課金を加速させるための甘い餌になりやすいのです。
本やSNS発信の霊媒師に心を持っていかれる理由
テレビに出ている霊能者は、芸能人や番組関係者との関わりがあり、視聴者の目もあるため、ある程度の「見られている自覚と責任感」が働きます。
一方で、SNSや書籍での発信は、発信者の言いたいことだけを一方的に伝える場になりやすく、検証や反論が難しい構造です。
私自身も、SNSや本で人気の霊媒師のキラキラした言葉に「心を持っていかれそうになった」ことがありました。
でも今思えば、それは相手のつくった一方的な世界観に入り込んでいただけなのかもしれません。
感動や共感は大切。
でも、それだけで心のすべてを預けてしまうと、正しい判断力を失いかねません。
本当にその金額に見合っているのか?
- 問いかけを返さず、決めつけるだけのアドバイス
- 科学的根拠がない波動エネルギーや霊への依存
- 精神的に不安定な状態につけ込む料金体系
- 「あなたは特別」と言いながら、高額な講座を重ねさせる構造
その結果、受講者は気づいたときには引き返せない心理状態に置かれ、自分の判断力にすら疑問を持てなくなってしまいます。
それでも信じたくなる心理を利用して、信者ビジネスは成立してしまいます。
おわりに 信じることと、依存することは違う
スピリチュアルを否定するわけではありません。
また、スピリチュアルの全てが詐欺というわけでは全くありません。
でも、
- 「本当にその価格に見合う体験か?」
- 「自分の感覚はどうか?」
と冷静に見つめ直す視点が必要です。
人は心が弱っているときほど、「救い」の言葉にすがりたくなります。
だからこそ、いつも「お金と信頼を守る感覚」を持ち続けることが、何より大切です。
もし迷ったときは、一度立ち止まってスピリチュアルカウンセラーを客観的に見てみては?
SNSや本の言葉ではなく、自分自身の感覚に耳を澄ませてみてくださいね。
※この記事は、必要な方にそっと届けばうれしいです。合わないと感じた方は、静かに読み流してくだされば幸いです。特定の人物を非難する意図はなく、あくまで一般的な傾向や体験に基づいて書いています。