最近、「扶養廃止」というワードを聞くことが増えました。
扶養廃止とは、配偶者控除が廃止されること。
扶養廃止により大きく影響を受けるのが、夫の扶養に入っている主婦たちです。
例えば、専業主婦や扶養枠内で働くパート主婦など。
そんな主婦の皆様は、この記事を読んでいつか訪れるかもしれない「その時」に備えてください。
Contents
扶養とは何か?
まずは、「扶養」について復習しておきましょう。
扶養とは、簡単に言うと、収入の少ない(収入のない)妻が会社員の夫に養われることで、自身が年金保険料を負担することなく将来の年金を受け取ることのできる制度のことをいいます。
扶養には
- 「税法上の扶養」
- 「社会保険(健康保険や年金)上の扶養」
の2種類があります。
本人の年収が103万円以内だと所得税が免除、130万円(会社によっては106万円)以内だと社会保険料が免除になり、扶養に入ることができます。
このように、専業主婦や130万円(106万円)の壁を超えないように働き配偶者の扶養に入る人たちを、「第3号被保険者」といいます。
扶養制度は廃止されるのか?
今回いわれている扶養制度の廃止というのは、「社会保険上の扶養」のほうのことです。
ここでは、扶養制度が今後どうなっていくのか?本当に廃止されてしまうのか?を考えていきます。
扶養制度は廃止されるのか?
扶養制度は、子育てをしている主婦たちにとってとても有難い制度なのですが、今後はその扶養制度が廃止になるのでは?と話題になっています。
今すぐに扶養が廃止されてしまうというわけではありませんが、遡ること2022年から既に社会保険適用が少しずつ拡大されており、扶養から出てしまうパート主婦の人たちが増えてきています。
そして、2025年からは、「年収130万円(106万円)の壁」が段階的に引き下げられていく可能性があります。
そうなると、更に扶養の枠から出てしまう人たちが増えていくことでしょう。
そして最終的には、扶養制度自体が廃止になる可能性が高いのです。
扶養が廃止になれば、今まで社会保険料納付が免除されていた人も全員、自分自身で納めていかなくてはなりません。
「それだったらいっそフルタイムになる!」
と言い出す主婦が増えるのを狙っているのかな?
一方で、物価が上がっているのに年収の壁が下がるのは納得いかないパート主婦たちは多いのでは?
なぜ、扶養制度が廃止になるのか?
扶養制度は有難い制度なのになぜ廃止を検討されているのでしょうか?
2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となって、医療・介護にかかってくる社会保険費用が増えることが予想されています。
今の日本では少子高齢化が問題になっているのは良く知られていることですよね。
政府としては、専業主婦や扶養枠内で働いている女性たちに、もっと社会進出して社会保険料を納めてもらいたいと考えているのです。
また、以前より、独身者やフルタイムで働いている人たちから第三号被保険者に対しての不公平感を感じる声が上がっており、政府内では扶養控除見直し案が浮上していました。
扶養廃止のメリットとデメリット
扶養廃止におけるメリットとデメリットについて解説します。
扶養廃止のメリット
扶養が廃止されるメリットは以下の通りになります。
扶養廃止のメリット
- 年収の壁を意識しての働き控えの解消になる
- 女性の長時間労働が促進される
- 家計の所得が増加する
- 社会全体の人手不足解消になる
- 将来もらえる年金が増える
パート主婦の中には、本当はもっと働きたいと思いつつ年収の壁を気にして働き控えをしている人がいます。
確かに壁を少しだけ超えたりしたら、逆に手取りが減ってしまいますからね…。
そういう人たちにとっては、扶養廃止は有難い話です。
また、女性がどんどん働いてくれれば、社会全体の人出不足の解消や各々の家計の潤いにも繋がります。
扶養廃止のデメリット
扶養が廃止されるデメリットは以下の通りになります。
扶養廃止のデメリット
- 子育て世帯の負担が増加する
- 少子化が進む可能性がある
- 男性が育児・介護に協力する必要が出てくる
- 中小企業の負担が増える
- 長時間勤務がどうしても出来ず、逆に働かなくなる人が出てくる可能性もある
子育て中の家庭の中には、今の扶養制度に助けられている家庭も多いはず。
それが、扶養がなくなってパパ・ママともに仕事が忙しくなれば、子育て負担が大きくなってしまいますよね。
また結婚した年齢によっては、子育てと介護が重なる家庭も出てきます。
そんな状態でフルタイムで働くとなると、場合によっては心身の健康に影響が出てくる可能性も。
そして、中小企業にとっては、これまで社会保険に加入していなかった社員が新たに加入することで、企業の社会保険料負担額が増加してしまいます。
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私が扶養廃止について思うこと
私自身は、扶養の廃止にあまり賛成はしていません。
「主婦」と一言で言っても、夫が高収入のため優雅に専業主婦をしている主婦がいる一方で、生活費がカツカツの上、子育てや介護に精一杯の主婦もいます。
色々な家庭環境があり、本当に千差万別です。
夫の転勤についていくために正社員を辞めた主婦もいますよね?
それを一括りにして、
「税金や保険料を払わない主婦はずるい!フルタイムで働いてほしい!」
と非難する人がいるのは悲しいことだと思います。
もし扶養を廃止にするならば、その前に、大変な主婦をフォローする制度が出来なければ、余計に少子化が進んでしまうのではないでしょうか?
また、主婦本人が働きたいと思っていても、第一線から退いて長い時間が経ってしまうと、企業から採用されづらいという実態もあります。
扶養制度の廃止を行う前に、国が女性の社会進出を促進するような対策を行ってもらいたいものです。
そして、主婦のみなさんは、年収の壁が下がることや壁が撤廃され全員社会保険加入が義務化される可能性に備えて、自分自身の働き方を見つめなおしておきましょう!
まとめ
扶養廃止は、時代のニーズには合っているように思えます。
一方で、逆に少子高齢化に拍車がかかる心配もあります。
今まで扶養に助けられて何とか生活していた主婦にとっては結構な痛手。
主婦のみなさんは、いつかくるかもしれない扶養廃止に備え、家族で話し合いの上、早め早めの対策をおすすめします。