ここ数年、「終活」や「エンディングノート」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
「まだ元気だし、亡くなった後のことを考えるなんて縁起でもない」
「具体的に何を書けばいいのか分からない」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。
ですが、50代からエンディングノートを準備しておくことは、決して早すぎることではなく、むしろ「今」だからこそできる大切な自己整備です。
この記事では、エンディングノートに書くべき内容や始め方、そして50代から始めるメリットを、ファイナンシャルプランナーの視点と実体験を交えてわかりやすく解説します。
Contents
終活・エンディングノートとは?
エンディングノートの役割と自由度
終活とは、「人生の終わりに向けた準備」全般を指します。
その中でもエンディングノートは、自分の希望や想いを記録することで、家族や大切な人に“安心”を残すためのツールです。
遺言書のように法的効力はありませんが、その分、自由に書くことができ、自分の「生き方」や「想い」を伝えられるという魅力があります。
自分に合った形式を選ぼう!紙・デジタルどちらでもOK
最近では、本屋や100円ショップでも手に入る専用ノートのほか、スマホやパソコンで記録できるアプリ・テンプレートもあります。
大切なのは「続けられる方法で始めること」。
まずは気軽に簡単なメモからでも十分です。
50代からエンディングノートを始めるメリット
1. 元気なうちに冷静に備えられる
体力や判断力に不安が出る前の50代だからこそ、落ち着いて将来のことを考える余裕があります。
いざという時に慌てることがなくなります。
2. 突然の病気や事故に備えられる安心感
誰にでも突然の入院や怪我は起こり得ます。
エンディングノートがあると、医療・介護の希望を家族に伝えることができ、不安の軽減にもつながります。
3. 「これからの生き方」を考えるきっかけにも
終活は「死の準備」だけでなく、「これからをどう生きるか」を整える時間にもなります。
筆者自身も40代からノートをつけ始め、書くことで心が整い、日々の過ごし方を大切にできるようになりました。
エンディングノートに書くべき7つの基本項目
① 自分自身の基本情報
氏名、生年月日、住所、血液型、マイナンバーなどを記載します。
保険証や免許証のコピーを貼っておくと家族が探す手間が省けます。
② 財産について
銀行口座、証券口座、保険、不動産、年金など。
金融機関名・支店名・口座番号・保管場所なども具体的に記載しておくとよいでしょう。
※使っていない口座やクレジットカードは、整理・解約のタイミングとしても◎
③ 医療・介護についての希望
持病、アレルギー、常用薬、かかりつけ医の情報に加え、
・延命治療を望むか
・認知症になった場合の介護方針
・代理人(医療方針の決定を託す人)
なども明記しておくと安心です。
④ 葬儀・お墓について
希望する葬儀の形式(家族葬・一般葬・直葬など)や、知らせてほしい人の連絡先もリスト化しておきましょう。
生前契約を検討している場合はその旨も記載します。
⑤ 相続と遺言について
遺言書がある場合は「保管場所」を明記し、ない場合でも希望や分け方の方針を書いておくと家族が揉めにくくなります。
⑥ 家族へのメッセージ
形式にとらわれず、自分らしい言葉で感謝や想いを綴ってみましょう。
「自分の人生はこうだった」と振り返るように記す方も増えています。
⑦ 保管場所と伝達方法
ノートの場所は家族にきちんと伝えることが大切です。
また、デジタルで作成した場合はパスワードや保管媒体の情報も忘れずに。
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デジタル遺品も忘れずに スマホ・SNS・契約情報の整理
現代では、銀行や証券もネット管理が当たり前。ログインID・パスワード・使用サービスの記録も重要です。
デジタル遺品に含まれる主なもの:
- ネット銀行・証券のログイン情報
- Amazonなど通販サイトのアカウント
- LINE・InstagramなどSNS
- 写真クラウド(Googleフォトなど)
- YouTubeやブログの管理権限
「紙のノート」とあわせて、デジタル整理リストも作っておくと、家族にとって非常に助かります。
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終活でよくあるQ&A
Q. 字が汚くても大丈夫?
→ パソコンやスマホで打ち込んで印刷し、ノートに貼る方法も◎
要は「家族が読めること」が大切です。
Q. 相続のことまで書いていいの?
→ 気持ちや考えを記すだけでも大きな意味があります。
ただし、法的効力を持たせたい場合は遺言書を別途用意しましょう。
Q. ノートの保管はどこがベスト?
→ 鍵付き引き出しや、家族に共有している場所がおすすめ。
「◯◯に置いてある」と口頭で伝えるか、別紙メモにしてもOKです。
相続と税金の不安は「専門家選び」で解決
終活を進めていると、「相続税ってかかるのかな?」「うちの財産はどう整理すべき?」といった不安を感じることは少なくありません。
そんなときに頼れるのが税理士ですが、実はすべての税理士が相続に詳しいわけではないのです。
実際に私も、地元の税理士事務所に相続の相談で電話をしたことがあります。
ところが、「うちは確定申告が専門で、相続は扱っていません」とはっきり断られてしまいました。
この経験から学んだのは、税理士にも専門分野があり、相続を扱える人を見極める必要があるということです。
最近では、相続専門をうたう事務所や、初回無料相談を行っているところも増えています。
不安を感じたときは、「相続に強い税理士」を探すところから始めてみると、安心して準備が進められます。
知っておきたい法定相続人と相続割合
以下は代表的な相続人のパターンと法定割合です。
相続人の組み合わせ | 配偶者の取り分 | その他の取り分 | 備考 |
---|---|---|---|
配偶者と子ども | 1/2 | 子ども全体で1/2 | 子どもが複数なら均等に分ける |
配偶者と親 | 2/3 | 親全体で1/3 | 親が健在な場合に限る |
配偶者と兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全体で1/4 | 甥姪が代襲相続することも |
こうした基本を知っておくだけでも、相続時のトラブル予防になります。
まとめ エンディングノートは「人生の再設計ツール」
エンディングノートは、単なる「死後の準備」ではありません。
むしろ、自分の考えや想いを整理し、これからの人生をよりよく生きるための「人生の再設計ツール」です。
誰かのためでもあり、自分のためでもあるこのノート。
50代からの終活は、未来を守るだけでなく、「今」を豊かにする第一歩です。
ぜひ無理なく、少しずつ始めてみてくださいね。
